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ここがすごい! Typstのプラグインシステム ここ数年でTypstという組版システムが、文書作成やスライド作成でよく利用されるようになってきました。 Typstの長所として、"LaTeXよりもソースコードが読みやすく、コンパイルが速い"と紹介されることが多いと思います。 これが一番の長所なわけですが、他にもプラグインシステムが素晴らしいことも知ってほしいと思い、本記事で語ろうと思います。 また参考として、TypstよりLaTeXのほうが優れている点についても話したいと思います。 プラグイン作成側の視点から LaTeXとTypstの両方プラグインを作ってみたことがありますが、LaTeXだと、tex言語で書かなければいけないという制約が大きいです。外部のプログラムに頼るときも、Unix系OSとWindowsで分けていろいろやらないといけなくて(パスの区切りとか、シェルが違う点など)手間がかかりました。 それと比較し、TypstはWebAssemblyという飛び道具を持っているので、拡張性と、書きやすさが全然違うなと感じます。 CやRustで書かれた既存のコード資産が利用できる(注1)という点が大きいですし、クロスプラットフォームなのでOSやシェルなどの環境の違いを意識せずに開発できます。 プラグインを使う側の視点から プラグインのバージョン管理が優秀 LaTeXのusepackageだと、パッケージのバージョンが違うことによるエラーがたまに出ます(texliveのバージョンが違うとよくある)。 Typstはパッケージのバージョンを指定して使用するので、パッケージのバージョンのエラーがないのがうれしいです。 セキュリティ的に安全 (TypstはLaTeXのように外部コマンドの実行のおそれがない) TypstのWebAssemblyのプラグインシステムは制限されたサンドボックス空間でプログラムを実行しているため、安全性が極めて高いです。そもそもwasmプラグインはファイルシステムないしネットワークにもアクセスできないので、悪意のあるプログラムを組み込むのはほぼ無理。 プラグインのアップデートの頻度が高い TypstのWebAssemblyプラグインシステムはセキュアであり、悪意のあるプログラムを組み込むことができないので、プラグインの審査、登録もボットにまかせている。(typst/packages) 24時間いつでもプラグインを公式のパッケージとして登録、更新ができるのは、Typstがすごいスピードで成長した要因の一つであり、ここでもWebAssemblyの貢献が大きい。 コンパイルが爆速 wasmなのでとにかく速いです。 LaTeXと比較したときのTypstのデメリットや、注意すべき点など システムにフォントを事前にインストールする必要がある WindowsやMacOSだと、游明朝あたりを使っていれば問題ないです。 (游明朝はWindowsでもMacOSでもデフォルトでシステムフォントなのでおすすめです。) LaTeXのように、原の味フォントを使いたい場合はインストールする(公式レポ)必要があります。 試しにフォントの宣言をしてエラーが出なければインストールできています。 #set text(font: "Yu Mincho") #set text(font: "HaranoAjiMincho") 初回コンパイル時はプラグインのダウンロードのためインターネット接続が必要 デメリットではないですが、注意点として書いておきます。 前もって自分のよく使うパッケージ(テンプレート、プラグイン)はダウンロードしておくのもいいと思います。 自分はtypst universeでchemistryタグのついているパッケージは事前にインストールするようにしています。 数学の論文ならLaTeXのほうがいい LaTeXの方がレンダリングがきれいと言われます。 数学専攻じゃないので詳しいことはわからないですが、フォントの問題なのだとおもいます。 そもそもほとんどの論文の原稿提出用のフォーマットがTeX形式でしか配られていないので、TeXを使うのがいいです。 ここら辺は、研究室の慣習や、雑誌の提出用フォーマットに従うしかない ご清聴ありがとうございました 注 注1 LLVM言語ならWebAssemblyにコンパイルできる。(os依存コードとかが多くなければ) すなわちC/C++, Rust, Go, Haskell, Swift, Moonbit, Fortran などでプラグインが書ける。 Typstの中では言語処理系が動かせるため、PythonやJavaScriptでもプラグインが書ける。(Pythonはあまり見ない) 言語処理系プラグインの例: pyrunner(Python), ctxjs(JavaScript), mitex(LaTeX), neoplot(Gnuplot) など